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思わぬ展開
前回の続きです。

「懲らしめてやる」
一体何をするつもりなのか。

私  「もしかして職場へ乗り込むの?」
彼氏 「だったらなんだ。まさかアイツの事庇うつもりなのか?」
私  「そんなんじゃない」
彼氏 「じゃ黙ってろよ。俺は苦痛を受けたんだ」

正直、我先にと逃げたイチさんなんかどうでもいい。
元々、恋愛感情もない人だ。でもイチさんの家族となると話は別。
「家庭を壊す」まで、発展してしまうのは本当に勘弁してほしい。

そういった私の考えを伝えると
彼氏 「そこまではしない」
私  「・・・でもなんか考えてるでしょ」
彼氏 「慰謝料ふんだくってやる」

絶句しました。慰謝料?そんな事企んでたのか。
でも、それはきっと無理だよ。イチさんは所詮サラリーマン。
短い付き合いだけど、お財布事情が乏しいのは私からみても明らかだった。

私 「あんまり余裕なさそうだったよ。無理なんじゃない」
彼氏「今の生活を失いたくなかったら、必死にかき集めるさ」

そう言うと、イチさんの所持品を持って帰っていってしまった。
慰謝料の請求。思ってもいない展開だった。自宅の連絡先はわからない。
という事は、勤め先に電話してとっちめるという事なんだろうか。

落ち着かない気持ちで、その日は過ごしました。と同時に。
不謹慎だけど、下着も靴も置いて逃げたイチさんを想像しておかしくなった。
あの後、どうやって家までたどり着いたんだろう。

靴下も忘れていった。裸足のままタクシーにでも乗って帰ったのか。
奥さんには何て言い訳したのか。それとも家へは帰らなかったのか。
20年以上経った今でも不思議で仕方がない。

彼が帰った後、鏡で首元を確認した。
絞められた痕は思ったほど残っていない。キスマークのような赤い痣があるだけ。
ただ、意外な場所に擦り傷がたくさんあった。唇も切れてる。

殺されると思ったけど、実際はそれほどの力ではなかったのかもしれない。
でも、私はあの恐怖を一生忘れる事ができない。

思ってる以上に、土壇場での自分は非力だった。
男と女の力の差。加えて、恐怖感は気力も体力も奪ってしまう。
自分の頭の中の防衛シュミレーションは、何の役にも立たなかった。

場面は違うけど、電車で痴漢にあっても「声が出せない」女性の気持ち。
今迄ピンと来なかったけど、それがようやくわかった。

遠のく意識の中で、死を覚悟したあの瞬間。
もう次に目を覚ます事はない。あとは無の世界なんだ。
笑う事も泣く事も怒る事もなくなる。

死ぬというのはそういう事なんだ。
そう思った。

続きます。
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過去の事(怖かった編) | 08:01:50 | トラックバック(0) | コメント(0)
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