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救いの一言
忙しい生活 の続きです。

新しく入ってきた派遣さんは、とてもいい人でした。
いつも遅くまで残る私を気遣って、最大限できる仕事を片付けてくれた。
トキさんに叱られた後は、明るい話題でさりげなく私を笑わせてくれもした。

急場しのぎなので、短期間のお付き合いだった。でも、私にとって大切な相棒でした。
そんなある日の事。私と派遣さんが2人で仕事をしてると、トキさんがやってきます。

顔つきが険しい。嫌な予感。
突然、一枚の伝票を私へ差し出してこう言います。

トキさん 「これ、日付が変なんだけど。どういう事?」

確かにおかしい。調べてみると、私の記載ミスでした。初歩的な単純ミス。
「申し訳ありません。記入を間違えてました。すぐ修正します」
トキさん、大きく大きくため息をつきます。そして。

トキさん 「なんで今更こんなミスするの?信じられない。おかしいんじゃない。
     私、今まであなたみたいな人、見た事ないんだけど」

ショックでした。完璧なまでに打ちのめされた。
トキさんの言う通り、もう2ヶ月以上経つのに、覚えるどころかミスだらけ。
しかも、仕事の事だけならともかく、人間性まで完全否定されてしまった。
そうなの?そんなに「おかしい」の?私は普通じゃないの?

自分は、この会社にいてはいけない人間なのだろうか。
コネがあるから、言われないだけでもしかして本当は。
私は会社にとって、迷惑なだけの存在かもしれない。そう思った。

悔しい。言い返す事が出来なかった。
動揺してしばらく仕事が手につきませんでした。すると。
今まで黙って見ていた派遣さんが、小声で言ってきます。

派遣さん 「トキさん、ひどいですね。おかしいのはあの人の方ですよ」

驚きました。思わず顔を見つめてしまった。
派遣さん 「ずっと思ってたんです。本当は、こういう事言っちゃいけないのはわかってます。
      でも、もう我慢できません。何なんですか?あの人。いつもいつも偉そうに」

とても嬉しかった。と、同時にものすごい安堵感。
「トキさんに問題がある」と、正面きってジャッジを下してくれた人は初めてだった。
ヒロさんも他の人達も、私に対して優しかったし、フォローもしてくれた。

けど、トキさんの指導法に関して、誰も咎める事はなかった。
腹の中でどう思ってるかわからない。けど、表面上はどっちつかずの中立な立場。
最初の内は平気だった。それでも叱責される日々が続くと次第に

「もしかして。私になにか、重大な欠陥があるのだろうか」
こんな事を考えるようになっていた。日毎に負の感情が膨らんでいく。
そんな時に派遣さんが言ってくれた一言。

「トキさん、ひどいですね」
救われた。心底救われた。今でも思う。
もし、あの一言がなかったら。

きっと私は病んでいたか、その場で会社を辞めていたに違いない。
続きます。
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過去の事(仕事編) | 07:09:54 | トラックバック(0) | コメント(2)
コメント
初めまして。
ここ数日の記事を読ませて頂き、数年前を思い出しました。イライラも、怒りも。
やはりどこにでもいるんですね。
辞められるなら辞めたい、でも、そいつのために辞めるのも悔しい、そんな感情の繰り返しもありました。
仕事のミスを指摘されるだけならまだしも、人格・人生を否定されてる様な物言いをするんですよね。トキさんがおかしいんですよ!まどりさんが普通なんです。
そして、集中してる時にわざわざ今じゃなくてもいい仕事を言って中断させる。まさに同じです。
要は教え方が悪いんですよ。トキさん以外の人が教えてくれれば、すんなり覚えられるし出来る事も、仰るようにわざと複雑にして言ってくるんですよね。
トキさんにしてみれば、まどりりさんの成長が脅威なんですよ。スンナリ出来てしまわれたら自分の威厳がなくなってしまう。自分しかできない、トキさんじゃなきゃ、と言われていたいんですよ。(誰も言ってなさそうだけど^^;)
ついつい、昔を思い出して興奮してしまいました。また、お邪魔させて頂きますね。
2016-12-26 月 13:11:13 | URL | いおり [編集]
いおりさんへ
初めまして。こんにちは(*^_^*)

> やはりどこにでもいるんですね。
いますよすね~(笑)仕事にかこつけて、日頃の鬱憤をはらす人。
きっと一定の割合で存在するので「いなかったらラッキー」と思うしかないのかなと。

いおりさんのご指摘通り「あなたが必要だ」「あなたにしかできない」と言ってほしかった。
働く以上、必要とされるのは嬉しい事なので、そう考える気持ちはわかりますが、
他人を攻撃してまでやるのはどうよ?と思ってしまいます(^_^;)

一度、ターゲットにされるとそこから抜け出すのは容易ではありません。
いじめの構造とよく似てますよね。見て見ぬフリをするところとか。

私の場合、辞めても家計に大きな影響はありませんが、大黒柱だとそうはいかないです。
この経験は辛いものでしたけど「辞めるに辞められない」という、家計を支える為に働く
世のお父さんお母さん達の大変さが身にしみてよくわかりました。

コメント、ご訪問ありがとうございます。
2016-12-27 火 07:01:34 | URL | まどりん [編集]
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